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兼業農家 割合はどれくらい?

兼業農家 割合はどれくらい?

農業に関わる話題で「兼業農家は多い」と聞く一方で、実際にどれくらいの割合なのか、どの統計を見ればよいのかで迷う方は少なくありません。

また、「兼業農家」と「副業的経営体」は同じ意味なのか、専業農家や第1種・第2種と何が違うのかも分かりにくい論点です。

この記事では、農林水産省の定義と農業センサスなどの公的統計を軸に、兼業農家の割合を数字で把握し、なぜ兼業が日本農業の主流になっているのかを整理します。

読み終える頃には、統計の見方が明確になり、ご自身の地域や経営の位置づけも考えやすくなるはずです。

兼業農家の割合は「多数派」と整理されます

結論として、兼業農家は日本の農業において多数派とされています。

農業センサス(2020年)では、個人経営体108万のうち、兼業農家に相当すると整理される副業的経営体が62%を占めます。

また、販売農家を対象にした2010年データでは、販売農家115.9万戸のうち兼業農家は88.5万戸で、76%と示されています。

ただし、統計年や分類(販売農家か、個人経営体か)で母数と区分が異なるため、数字は「どの定義の割合か」を確認して読む必要があります。

兼業農家が多い理由は、定義と構造にあります

そもそも「兼業農家」とは何か

農林水産省の定義では、兼業農家は世帯員に兼業従事者(農業以外の仕事をする人)が1人以上いる農家を指します。

ここでいう「農家」は、経営耕地面積が10a以上、または農産物販売額が15万円以上の世帯です。

そのうち「販売農家」(耕地面積30a以上または販売額50万円以上)は、専業農家と兼業農家に分類されます。

さらに兼業農家は、農業所得と農業以外の所得の大小関係で、第1種・第2種に分かれます。

第1種兼業農家・第2種兼業農家の違い

区分は次のとおり整理されます。

  • 第1種兼業農家:農業所得が主(農業所得>他所得)
  • 第2種兼業農家:他所得が主(他所得>農業所得)

「兼業農家が多い」と言う場合、実態としては第2種兼業(農業が従、他の仕事が主)が厚い点が重要です。

統計が示す「兼業が主流」という現実

2010年の販売農家データでは、販売農家115.9万戸のうち兼業農家は88.5万戸(76%)で、その内訳として第2種兼業農家が73.1万戸とされています。

つまり、販売農家の中でも「他の仕事が主で、農業も行う」形が主流だったと読み取れます。

また、2020年の農業センサスでは、個人経営体108万のうち副業的経営体が62%(63万体)で、主業経営体21%(22万体)、準主業13%(13万体)より大きい割合です。

小規模経営ほど兼業になりやすい構造

日本農業は小規模な家族経営が多いとされます。

規模が小さいほど、農業所得だけで世帯の収入を安定させにくく、結果として兼業化しやすいと考えられます。

リサーチ結果では、水田の平均が1.2haで、7割が1ha未満という規模特性も示されています。

このような構造が、兼業農家の割合を押し上げている可能性があります。

収入面から見える「兼業の現実」

収入実態として、収入1,000万円以下の農家が全体の88%(全国)という整理が示されています。

また、簿記ユーザー内では1,000万円以下が40%というデータもあり、集計対象の違いで見え方は変わりますが、小規模・中小規模の層が厚いこと自体は読み取りやすいです。

農業所得が相対的に小さくなりやすい環境では、兼業という選択が広がると考えられます。

数字でつかむ「兼業農家 割合」の具体像

具体例1:2010年は販売農家の76%が兼業農家です

2010年データでは、販売農家115.9万戸のうち兼業農家は88.5万戸で、割合は76%です。

さらに、兼業農家のうち第2種兼業農家が73.1万戸とされ、兼業の中心が第2種であることが分かります。

この数字は「販売を行う農家」という比較的経営実態が見えやすい層でも、兼業が多数派だったことを示します。

具体例2:2020年は個人経営体の62%が副業的経営体です

2020年の農業センサスでは、個人経営体108万の内訳として、副業的経営体が62%(63万体)と整理されています。

主業経営体21%、準主業13%と比べても、副業的が最大です。

ここで注意したいのは、「副業的経営体」は統計上の区分であり、厳密には「兼業農家」と完全一致する言葉ではない点です。

ただし、リサーチ結果では兼業農家に相当するものとして扱われており、最新動向として兼業が主流という理解につながります。

具体例3:1985年時点でも第2種兼業が中心でした

歴史的推移として、1985年は農家437万戸のうち第2種兼業が68%、専業が14.3%とされています。

この整理からは、兼業(特に第2種)が長期にわたり日本農業の中心的な担い手層として存在してきたことがうかがえます。

時代によって農家戸数そのものは変化していますが、「兼業が厚い」という構造は継続していると考えられます。

具体例4:「半農半X」の広がりが示唆されています

近年は、趣味を超えて農業に関与する「半農半X」層の拡大が指摘されています。

この文脈では、兼業は「やむを得ない形」だけではなく、パラレルワークとして農業に関わる選択としても捉えられます。

副業的経営体が一定割合を占めることは、地域の農地維持や多様な担い手確保の観点からも重要とされています。

まとめ:兼業農家の割合は統計上も多数派です

兼業農家の割合については、統計区分の違いに注意しつつも、「多数派」という整理が妥当です。

  • 2010年の販売農家では、兼業農家が76%(88.5万戸/115.9万戸)です
  • 2020年の個人経営体では、副業的経営体が62%(63万体/108万体)です
  • 兼業の内訳は第2種(他所得が主)が厚いとされています
  • 小規模経営の多さや収入構造が、兼業化を後押ししている可能性があります

これらを踏まえると、兼業農家は例外ではなく、日本農業を支える基盤的な存在と位置づけられます。

自分に近い区分を確認すると、次の一手が見えやすくなります

「兼業農家の割合」を知る目的は、単に多数派かどうかを確認することだけではないはずです。

ご自身やご家族が、専業・第1種・第2種のどれに近いのか、また統計でいう主業・準主業・副業的のどれに当てはまりそうかを一度整理すると、今後の意思決定がしやすくなります。

たとえば、農業所得を伸ばしたい方は販売額や作目の見直し、地域での役割を重視する方は農地維持や共同作業の関わり方など、検討テーマが具体化しやすいです。

統計は平均像を示すものですが、現場の選択肢を狭めるものではありません。

まずは公的統計の区分を「自分の現在地を知る地図」として使い、無理のない形で次の行動を検討していくことが大切だと考えられます。